「組込み」という仕事:
世の中に溢れる商品。
そのニーズとつながっている、
私たちの仕事。

 
   
商品の生まれる生産工場で使われる製品

 私たちの仕事が一般の方に見ていただけることは、ほとんどありません。なぜなら私たちが製造するもの多くは、「一般の方が使われる商品の生まれる生産工場」で使われているからです。
 高性能で品質の高い液晶テレビや携帯電話がいつでも安く手に入り、便利な機能が使える、ということに私たちの製品は陰で役に立っています。世界中で毎日いろいろな製品が作られていますが、それらを作っている機械は日本製が多く、世界でナンバーワンといえるでしょう。その機械の中で私たちの製品は24時間365日活躍しています。世界のモノ作りを陰で支えていると言って良いかも知れません。「もっと高機能な商品が欲しい」という世の中のニーズを受けて、各メーカーはそれに応える商品をつくろうと、常に最新鋭の製造設備を採用しています。そんな製造設備に、私たちの製品が必要となるのです。
 
 
私たちの仕事は「組込み製品」の開発

 マイクロコンピュータは、高度な機能をだれもが簡単に利用できる様にしてきました。デジタル・カメラなどのデジタル家電(デジタルコマース)、携帯電話機またはワイヤレス機器(モバイルユビキタス)、カーエレクトロニクス(オートモーティブ)、などマイクロコンピュータを搭載した製品を私たちは「組込み製品」と呼んでいます。もちろん、それら製品を製造するときに使われる産業用機器にもマイクロコンピュータが入っています。
 組込みの仕事には、ハードウェア(ボード・コンピュータなど)を中心にした組込み機器を開発・製造すること、デバイスドライバ、ミドルウェア※7やアプリケーションと呼ばれる各種機能のソフトウェアを開発することなどが挙げられます。私たちは組込みシステムの世界の中でも産業用製造装置の分野を得意としていますので、開発・製造した組込み機器やソフトウェアを装置メーカーや産業機器メーカーに提供することが、主な仕事となっています。
 世の中のニーズにメーカーが応えるには、応えるための環境が必要です。そのニーズが高機能性であれば、高機能な商品を生産できる製造装置が必要になってきます。私たちの仕事を簡単に説明するならば、その「製造装置に必要な制御部分作り」のお手伝い、と言えるでしょう。「見る」「聞く」「触れる」といった、産業用機器の五感(センサ)部分の情報をもとにして装置が「作業を行う」までを制御する、いわば頭脳になるような部分を、つくっています。
 
     
産業ロボットを制御する組込みシステム

 では、具体的にどのような機器に対して、どのようなモノを提供しているのか3つの例を挙げてご説明します。まずは、産業用ロボットです。産業用ロボットは、自動車や家電製品、パソコンなどを作るために使われます。私たちは、このロボットがヒトに代わって様々な複雑な仕事を行うための制御ボードや基本ソフトウェアを「組込みシステム」という形で提供しています。メーカーによって生産するものが違いますから、その最終的な機能構築の前段階までお手伝いしています。ロボットには、複雑な作業を行うための知能を植え付けることを求められると同時に、作業の速さや正確さも求められます。産業用機器は年間を通して休むことなく稼動していることが多いので、私たちの提供する製品は高い信頼性が必要となるのです。温度や湿度の変化が激しい、塵芥が多い、振動がある等の悪環境でも稼動し続けるもの、そして省電力・低発熱であるものが求められています。
 
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高速通信コア技術が半導体製造装置に採用

 次に、半導体製造装置です。まさに、パソコンの心臓部であるCPUやメモリ、などIC(集積回路)を製造するための装置です。これらのデバイスは、半導体製造装置内でシリコンウェーハに電子回路を焼き付けて作られます。半導体製造装置は、この回路を小さな面積にどれだけ多くの機能を埋め込めるか、そして、その作業をどれだけ速く正確にできるか、ということが求められる装置です。この2つの要求に対応する高性能なボードや制御のためのソフトウェアのパーツを提供しています。また、半導体製造装置には、多くの機能を分散して行う頭脳がたくさんありますが、その頭脳間を結び、高速でデータを伝える通信手段として当社独自の高速通信技術(GiGA CHANNEL)が採用されています。
 
     
人間に代わる検査装置に画像処理技術が活躍

 最後に、検査装置です。これは、モノを作る工場のラインで傷や欠陥を見つけたり、農作物の選別や加工品の不純物検出などに使われます。図の例は、透明のフィルムに傷などの欠陥がないかどうかを確認する欠陥検査装置です。この装置では、私たちが得意とする組込みシステムとともに、画像処理技術が生かされています。色を見る、傷を見る、文字を読む、人の顔を識別する、などをコンピュータで行うことを画像処理技術と言います。ここでは数台のカメラでフィルムを撮影し、画像として取り込み、細かい傷や汚れを判別しやすい画像に変換し、傷や汚れ識別する作業をします。その中で画像を取り込み、傷や汚れを計算し、判断する装置に私たちが開発・製造した製品が使われているのです。またその処理をするための(中心を検出したり、エッジを検出したり、汚れや傷を確認しやすいようにコントラストをつけたりする)基本的なソフトウェアも開発しています。
 
     
 
複合技術が製品開発の強み

 私たちの仕事は、回路設計技術やコア・デバイス技術とソフトウェア技術をベースに、事例のような「組込み制御の技術」、「通信の技術」、「画像処理の技術」の3つに分類されます。どの産業機器にも必要になってくるこの3つの技術をすべて持っていると言えます。組込み分野には、ハードウェアの会社、ソフトウェアの会社、というように1つの技術を専門としている会社は数多くありますが、前述の3つの開発技術を持ち、製造まで一貫して行っている私たちのような会社は多くありません。
 今後もこれらの強みを生かし、私たちにしかできないことを提案しつづけていこうと考えています。